ARCHITECTURE

東京モダン建築さんぽ/パレスサイドビルディング/日生劇場/羽根木の森

私が都内で名建築だと思う、モダン建築を3つご紹介したい。

パレスサイドビルディング

竹橋駅に直結した、白い円筒とビルが連結したモダン建築。皇居のすぐ傍にあるパレスサイドビルディングは、50年以上前に建築されたとは思えない近未来的なデザインだ。設計は日建設計工務部チーフアーキテクト林昌二、施工は大林組、竹中工務店が手掛けた。

1966年に竹橋駅が開業したのと同時にビルも竣工し、かっこいいオフィスビルの先駆け的な存在だったのだそう。

全長150mの直方体ビル2棟が少しずらしたように並べられ、高さ50mの白い円筒コア2棟が両端にそびえ立つ、独特の外観が特徴だ。四角いビルは重厚感のあるレンガに、横に長く伸びたルーバー、壁面のガラスカーテンウォールが透明感を引き立てる。形も素材も対照的な白い円筒状の塔の中にはエレベーターや階段などが収められている。

地上は9階建、地下は6階まであり、100社を超えるオフィス・ 商店・飲食店・郵便局・クリニックなどが入居する複合ビルとなっている。

まるでUFO内にいるかのような円形のエレベーターホールには、8台のエレベーターと階段がある。地下1階と1階をつなぐ階段はステンレスの繊細な構造体によって支持されており、まるで宙に浮いているかのよう。

ここには以前、アントニン・レーモンドが設計したリーダーズ・ダイジェスト東京支店があり、イサム・ノグチの手がけた日本庭園もあった。現在、ビルの屋上庭園にはその庭石が移されている。平日午前11時半~午後2時には一般開放されており、都心の景色や皇居を眺めることができ、都心の隠れたオアシスとなっている。

【パレスサイドビルディング DATA】

住所:東京都千代田区一ツ橋1丁目1−1

アクセス:地下鉄「竹橋」駅直結

日生劇場

地下鉄日比谷駅を降りてすぐ、帝国ホテルの向かいに堂々とした古い建物がある。この建物は日生劇場。1963年に建築されて以来、主にオペラやミュージカルの公演が行われている。

建築家・村野藤吾氏の代表作で、まずエントランスを入るとロビーの天井の高さに驚く。天井は幾何学模様が内側から浮かび上がるような照明と立体的なデザイン。ロビーからすでにその美しさに圧倒される。ル・コルビジェの国立美術館と同じ、ピロティの形式となっている。

劇場の中に入ると、まるで大きなクジラのお腹の中にいるような、もしくはたくさんの星に囲まれているような不思議な感覚に。

客席天井と壁はうねるような曲面で構成されている。これは音響効果のためだそう。有機的なデザインで、まるで大きな生き物の中にいるよう。

天井には2万枚ものアコヤ貝の貝殻が散りばめられていて、照明があたると本当に美しい。

今の劇場建築は機能的にうまくまとまっているものが多いけれど、日生劇場は今の劇場建築にはない幻想的な空間で、大理石や工業製品など素材の扱い方が今見ても斬新。劇場に入ってこんなに感動するのは初めて。見学予約をして見に来て良かったと心から思える名建築だ。

【日生劇場 DATA】

住所:東京都千代田区有楽町1丁目1−1

アクセス:東京メトロ「日比谷」駅A13出口より徒歩1分

羽根木の森

肌を刺すような寒風の吹く12月の午後、建築見学のため世田谷区羽根木を初めて訪れた。落ち着いた雰囲気の住宅街を散策していると凝った大きな家が多いことに気づく。その中でも見たかったのが「羽根木の森」という3階建ての集合住宅。元は森だったという12坪の敷地に、1本も木を切らずに建物を建てたという珍しい建築だ。設計は建築家・坂茂氏。建物には樹木を取り巻くようにいくつもの穴がポコポコと開いており、1階を広く空けることによって森を散策するような雰囲気を実現している。

1階はほとんど壁のないピロティになっており、開放感のある空間。建物を支える柱のほか、各住戸の玄関と小さな個室の壁にはミラーガラスが張られ、樹木を映し出している。1階を歩いていると建物にいながらまるで森の中にいるような錯覚に陥る。建物中心部は中庭となっており、オーバル型に囲むガラスブロックから内部の美しさが伺える。

敷地にもともとあった27本もの樹木を移動させることなく建物の方をくり抜いているため、楕円形や円形の穴がランダムに開いており、住戸の形は一つ一つ異なる。全部で11戸のそれぞれ独立した玄関を持つ長屋形式の集合住宅だ。

1階にアトリエのついた住戸と1階は階段のみの住戸の2種類のプラン。1階を仕事場にして2階で生活するというSOHOを想定した建物となっている。木と共生する建物は有機的で、ここに住んだら自由な発想が浮かんできそうだ。

住宅街を歩き、羽根木公園へ。ここはプレーパークといって、小さな小屋、遊具、ツリーハウス、ハンモック、焚き火など子どもたちが中心となって遊べる空間となっている。その日は木枯らしがビュービュー吹きつけ、頭が割れそうなくらいの寒さの日だったのだけれど、子どもたちはみんなのびのびと遊んでいて独特の雰囲気。見ているとなぜかドキドキした。私が子どもの頃にもこんなおうちのある遊び場があればよかったのに。春、夏、初秋はどんな感じなのだろう。また訪れてみたくなった。

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