青森アート旅 Vol.1〜建築家・田根剛が設計を手がけた、弘前れんが倉庫美術館

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青森県といえば、夏のねぶた祭りや、近年は現代アートの美術館が増えていて話題になっています。

私もこの夏、五所川原の立佞武多(たちねぷた)を観てきたのですが、青森県内の建築物や美術館にも足をのばしてきました。

今回の記事では、レンタカーなど車がなくても訪れやすい、「弘前れんが倉庫美術館」をご紹介します。

目次

弘前れんが倉庫美術館へのアクセス

JR弘前駅から20分ほど歩くと、きれいな芝生の敷地内に建つ赤れんがの建物が見えてきます。

hirosaki moca

雨などの天候不良で歩きたくない場合は、弘南鉄道大鰐線の中央弘前駅が近いです。

ただ電車の本数が少ないのと、乗り換えなどでかえって遠回りになってしまう場合もあります。

車移動の場合、一般駐車場はないため、近隣の駐車場を利用します。

弘前れんが倉庫美術館の建築・設計

弘前れんが倉庫美術館は、もともと1907(明治40)年〜1923(大正12)年に酒造工場として建てられた吉野町煉瓦倉庫を改修して美術館として再生された建物です。

hirosaki moca

改修の建築設計を担当したのが、建築家・田根剛氏。フランス・パリを拠点に活動する建築家で、主な作品に「エストニア国立博物館」があり、2012年の新国立競技場基本構想国際デザイン競技では「古墳スタジアム」がファイナリストに選ばれるなど注目を集めている建築家の一人です。

場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future」をコンセプトとしており、弘前れんが倉庫美術館では「記憶の継承」をコンセプトに、長く市民に愛されてきた歴史的建造物を可能な限り残しつつ新しい建物として生まれ変わらせています。

田根氏が日本国内で初めて設計を手掛がけた美術館が弘前れんが倉庫美術館です。

既存のれんが壁を活かすため、長さ約9メートルのPC鋼棒を挿入する工法を用いた耐震補強など、改修工事が約2年間行われました。

外観をなるべく元のまま残すという努力が、建物からも伝わってきます。

もともとは大工職人だったという吉野町煉瓦倉庫の創始者・福島藤助氏は「建物自体を街の遺産として残したい」という思いがあったそうで、頑丈なレンガ造りにこだわりがありました。

そんな創始者の想いをリスペクトし、この美術館ではれんが造りの美しさ・可能性を感じられるような空間が随所に見られます。

弘前れんが倉庫美術館の見どころ

弘前れんが倉庫美術館の建物はとにかくレンガ造りがかっこいいのですが、まず印象的なのがエントランスです。

hirosaki museum

れんがの風合いの美しさ、力強さが引き立つ積み方だなと感じたのですが、これは田根氏と職人の協同による「弘前積みレンガ工法」を用いたもの。

レンガの積み方には、長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積む「イギリス積み」、煉瓦の長手と小口を交互に積む「フランス積み」がありますが、そのどちらとも異なるオリジナルの手法です。

互い違いに重なった煉瓦がドーム型アーチ状に組み上げられており、その美しさはこのエントランス自体がアート作品のよう。

brick

エントランスを入ると、左手に現代アーティスト・奈良美智氏の作品「A to Z Memorial Dog」という、アルミニムでできた巨大な犬のオブジェが迎えてくれます。

2006年の夏、吉井酒造煉瓦倉庫で、展覧会「YOSHITOMO NARA + Graf A to Z」が行われ、当時美術館がなかった弘前には多くの来場者が訪れました。

この作品は翌年の2007年に弘前市に寄贈され、煉瓦倉庫前の緑地に設置されて市民に親しまれてきたもの。

煉瓦倉庫が美術館として生まれ変わる際、こちらのエントランスに移されたのですが、弘前とアートの関わりを見守ってくれている番犬のような存在だなと感じました。

展覧会を観終えたら、ライブラリーで一休みも良いですね。

ここでは美術関連の出版物などを閲覧でき、椅子とテーブルもあるため、一緒に美術館を訪れた人と美術談義、なんていうのも良さそうです。

もとは倉庫だった建物なので、天井が高く開放感があります。

天井一面には木造の小屋組みが広がります。

部分的に梁の入れ替えや構造補強などの改修を施しており、古い材料と新しい材料が調和するよう工夫が凝らされています。

弘前れんが倉庫美術館で開催されていた企画展

私が弘前れんが倉庫美術館を訪れた時には、「池田亮司展」が開催中でした。

池田亮司氏はパリと日本を拠点に国際的に活躍するアーティスト・作曲家で、テクノロジーを駆使し、光や音を用いたインスタレーションなどで知られています。

プロジェクター、コンピュータ、スピーカー、LCDモニターディスプレイなどが用いられたコンピューターグラフィックスや映像作品、音響作品は鑑賞者がその空間で体感するという展示なので、十分な広さがある弘前れんが倉庫美術館にぴったりの展示でした。

煉瓦倉庫を改装した美術館で、美術館として新築された建物ではなく、そこにいるだけで建物の記憶や歴史を感じる空間のため、現代アートと面白い化学反応があり相性が良いように感じました。

これからも、このユニークな空間を生かした展覧会を期待したいです。

ryoji ikeda exhibition

私、佑季のインスタグラムでは展覧会のリール動画も投稿しておりますので、ご興味のある方はご覧下さい。

弘前れんが倉庫美術館のカフェ

弘前れんが倉庫美術館の建物の横にあるもう一つのれんが造りの建物には、カフェ・ミュージアムショップが入っています。

「cafe & restaurant BRICK」ではガレットや日替わりワンプレート、デザートや展覧会にちなんだ期間限定メニューもあるのでワクワクします。

青森県の食材を使ったお料理も魅力的で、もちろんりんごの入ったメニューも。

隣りはミュージアムショップになっており、美術館のオリジナルバッグや、奈良美智氏の作品に登場する犬のモチーフのぬいぐるみなど、現代アート好きには必見のショップです。

【弘前れんが倉庫美術館 DATA】

住所: 青森県弘前市吉野町2−1

開館時間: 9:00-17:00 (金曜日・土曜日に限りスタジオ、ライブラリーのみ21:00まで開館)

休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

※弘前さくらまつり及びねぷたまつりの期間中は全日開館

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