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ARCHITECTURE

異色の建築家・梵 寿綱の建築を巡る 〜Vol.2

前回の記事「異色の建築家・梵 寿綱の建築を巡る 〜Vol.1」では、「日本のガウディ」と呼ばれる建築家・梵 寿綱(ぼん・じゅこう)氏の簡単なプロフィールや、都内に現存する梵氏がデザインした集合住宅の(主観的)おすすめランキング、ランキング5位の「ラポルタ和泉」と4位の「舞都和亜」(ともに杉並区代田橋)を紹介してきた。

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それでは、ランキング3位から。

3位:ドラード和世陀(1983年築)

東西線「早稲田」駅を出て早稲田大学方面へ歩いていると、並木通り左手の角地にパステルカラーの装飾が可愛らしい建物が見えてくる。

Waseda El Dorado

これが梵 寿綱氏の代表作の一つ、「ドラード和世陀」。1階部分が店舗の、6階建ての集合住宅だ。

日本でここまで大胆な装飾・造形をやり切っている建築はなかなかお目にかかれない。

建物名に「早稲田」ではなく「和世陀」と名付けていることも、この建物が唯一無二であることを物語る。

いたずらっぽく舌を出した、床の大理石モザイク画がお出迎え。当時イタリアで修行していた上哲男氏の作品だ。

ゆるやかな曲面を描く外壁。淡いパステルカラーのタイルは、どこか人魚姫を連想させる。

1階部分にはビビッドな色使いのコーナーが。顔の彫刻も一人一人表情が異なるので、目が離せなくなる。

窓やバルコニーなど、一つ一つはデザインの方向性が少しずつ違うのに、建物全体として一つの作品になっている。

外壁のコンクリート彫刻が出来上がる頃、「面白い建物ができる」と噂を聞きつけた彫刻家やタイル職人が加わり、現在の造形ができたのだそう。

この「ドラード和世陀」は、奇をてらってつくった訳ではなく、いびつな五角形をしている敷地に合うように設計していくと自然とこの形になったのだそう。

本来、無機物である建築が有機的に、今にも動きそうな・・・

そんな不思議な躍動感は、なかなか狙っても出せそうもないので納得だ。

梵 寿綱氏は「住まい」ではなく、「寿舞」(すまい)という言葉を使う。

その独特の言葉の通り、集合住宅がまるで生き物としてダンスを始めそうな、そんな楽しい気持ちにさせてくれる建物だ。

【ドラード和世陀 DATA】

住所:東京都新宿区早稲田鶴巻町517

2位:斐禮祈(ひらき) 賢者の石(1979年築)

池袋西東口から徒歩5分ほど、南池袋公園の近くに白いラブホテルのような外観の建物がある。

一階には「平喜屋」さんという酒屋さんが入っており、上は集合住宅となっている。

池袋という土地柄、あまり違和感はない外観なのだけど、それでも異彩を放っている。

Hiraki philosopher's Stone

この2つの黒い球体が「賢者の石」なのだろうか。

この建物をおすすめ2位にしたのは、エントランスの摩訶不思議さ。

「魔界」へ通じる「門」のよう。

アーティスト・岡本太郎さんの作品にも通じるものを感じる、ユニークな椅子。

曼荼羅や万華鏡を連想させる天井。色使いがオリエンタルだ。

床や壁のタイル、照明など細部にいたるまで手の込んだつくりだ。

【斐禮祈 賢者の石 DATA】

住所:豊島区南池袋2丁目29

1位:ハプニングタワー(1971年築)

1位は新宿区曙橋にある「ハプニングタワー」だ。

なぜこちらを1位に選んだかというと、内部空間が格好良く、異世界にトリップできるからだ。

ハプニングタワーは外苑東通り沿いに建つ、カラフルなお化けに侵食されたようなビル。

1971年築の建物をリフォームしたそうで、外観は元々普通のビルだった名残がある。

5階建のビルなのだが、この時代の建物らしく構造的にエレベーターがないため、階段で上に登っていく。

Happening tower Tokyo

その登っていく過程が、とんでもなく豊かな体験なのだ。

各階ごとにカラーが異なり、カラフルで華やかなタイル使いにうっとり。まるで中東モロッコを旅している気分。

天井、壁、階段、照明・・・。一つ一つが大切にデザインされていて、各階ごとに違う世界観が味わえる。

タイルの使い方がランダムで遊び心があり、楽しい。童心に戻ってワクワクできる、最高の建物だ。

【ハプニングタワー DATA】

住所:東京都新宿区荒木町18

※集合住宅は、実際に住人が住んでいますのでプライバシーにはご注意下さい※

梵 寿綱氏の作品を実際に見るまでは、写真を見ているだけだとディズニーランドにありそうな建物、というイメージだったし、「日本のガウディ」というキャッチフレーズもなんだか話題づくりのような気がしていた。

でも実際に建物に足を踏み入れて、なんともいえない高揚感を味わい、建築物にこんなにワクワクしたのは久しぶりだった。

それはきっと梵 寿綱氏とアーティストたちが真摯に施主の希望、土地の条件と向き合い、その場所、その時にしか生み出せない建築作品を生み出してきたからなのだろう。

やっぱり作品は、写真や映像で見るだけではダメ。実際に足を運んで、体験しなければ!と再確認。

ただ一つ、「日本のガウディ」というのは分かりやすいようでいて誤解を生みやすいのかもしれない。

確かにスペインのような雰囲気・造形の建物もあるけれど、オリエンタルな要素もとても強いし、

一見子どものように自由気ままなアーティスト、というイメージだけど、意外と現実主義なところも感じる。

実際に建物の中に身を置くと、どこか別の世界へワープしてしまいそうな危うさもある。

もし・・・梵 寿綱氏が手がけた「都市」があったら、日本でもないしスペインでもない、どこか迷宮のような場所に違いない。

そんな都市があったらちょっと怖いけど迷い込んでみたい。そんな妄想をふくらませながら、今回の梵 寿綱の建築巡りを終わりにしたい。

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