沖縄で私がおすすめしたい美術館2選。
展示内容は時期によって変わるので、美術館の建物や雰囲気など総合的に好きだなと思った美術館2つに絞ってご紹介したい。
沖縄県立博物館・美術館
「おきみゅー」という可愛らしい愛称で親しまれる美術館。この呼び名は「おきなわ」の「ミュージアム」を略し、「みゅー」という響きに親しみやすさを持たせたものなのだそう。
ゆいレール「おもろまち」駅を降りて、緑あふれる新都心公園の中を歩いていくと、左手に大きな白い建物が見えてくる。
「おきみゅー」は美術館・博物館両方の機能をもつ複合施設として2007年に開館。老朽化した県立博物館の建て替えと、初の県立美術館の誕生が同時に行われた。
まるでお城のような外観は、沖縄の「グスク」をイメージしたそう。グスクとは、単に日本の「お城」のようなものというだけでなく、館や御嶽(うたき)と呼ばれる拝所だったと考えられる場所もあり、神聖な建物だと言われている。
美しいカーブを描く壁が特徴的で、沖縄の地元の素材である琉球石灰岩が用いられ、まるでカーテンのようななめらかな曲線が美しい。琉球石灰岩は加工がしやすいため、このような造形が可能になるのだとか。
無数の穴から太陽の光が差し込む。沖縄の強い日差しを防ぐと同時に、エントランスホールや美術館展示室へ自然採光が取り入れられている。樹木のような柱が立つエントランスホールでは、まるで木漏れ日のような光が溢れていた。琉球のオアシスをモチーフにしたもので、建物のいたるところに沖縄独自の文化・知恵が感じられる。
中庭には赤瓦の古民家がどっしりと建っている。これは屋外展示として、琉球の伝統的な高倉、民家を再現したもの。玄関がなく広い間口の建物は、沖縄の伝統的な古民家のつくり。縁側で靴を脱いだら、そのまま上がることができ、中のものや建物に触れたりしなければ、ちょっと一息ついたり、写真を撮影することもできる。
常設展を鑑賞したのだが、自然光を取り入れた展示室は空間が広く天井が高く、のびのびと作品を鑑賞できた。ミュージアムショップでは美術館・博物館の展示にまつわるものだけでなく、沖縄土産になりそうなものも並んでいたので、鑑賞の帰りに立ち寄ってみることをおすすめしたい。
【沖縄県立博物館・美術館 DATA】
住所:沖縄県那覇市おもろまち3-1-1
アクセス:沖縄都市モノレールゆいレール「おもろまち」駅下車徒歩10分
開館時間:9:00-18:00
休館日:月曜日
浦添市美術館
沖縄都市モノレールゆいレール「おもろまち」駅を降りてバスで「大平」へ。バス停からは歩いてすぐ、国道330号からオリエンタルな建物が並び建つのが見えてくる。
浦添市美術館は、1990年に沖縄県で初めて建てられた公立美術館。 設計したのは、高円宮邸や世田谷美術館なども手がけた建築家・内井昭蔵氏だ。
「塔と回廊による構造」をテーマにしており、レベル差の異なる塔状の建物が集まり、周辺の樹木とともにエキゾチックな風景をつくり出している。
外壁には茶色の正方形タイルが貼られ、建物の形には正方形と正八角形の平面が多用されていて、幾何学的なデザインが印象的。
日本初の漆芸専門美術館としてつくられた美術館で、琉球漆器のコレクションを中心に、海外の漆芸品の展示も。私たちは企画展『レトロ・モダンな南国の華 ー近代沖縄の漆器たちー』展を鑑賞。赤地に黒の水玉模様の漆器や、赤地にトランプ柄の煙草セットなど、レトロモダンで可愛らしい漆器に心ときめいた。
中庭からの光に加え、塔状の屋根のハイサイドライトから差し込む光が展示室を優しく包み込む。
美術館賞で歩き疲れたら、併設する「喫茶室 花うるし」で一息つくのもおすすめ。この喫茶室では、漆(うるし)の器で食事ができるのが魅力だ。展示で琉球王朝時代の漆芸品を鑑賞した後、現代漆器を実際に使うことができるというのが嬉しい。ガラス張りの空間からは美術館とお庭が眺められる。私たちが訪れた時、喫茶室は地元の人々でにぎわい、喫茶室のスタッフの方々にも親切にして頂いたのが印象に残っている。
私はミルクレープのケーキと紅茶のセット、5歳の息子はかき氷を頂いた。ランチメニューもあり、沖縄そばや日替わりの和みランチというものもあったので、お昼時に来ることがあったら、そちらも試してみたい。
【浦添市美術館 DATA】
住所:沖縄県浦添市仲間1丁目9−2
アクセス:沖縄都市モノレールゆいレール「おもろまち」駅下車→バス「大平」駅下車 徒歩3分
開館時間:9:30-17:00
休館日:月曜日
※ただし月曜日が祝日の場合は開館。
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