着物・レトロ好きな方や、歴史的建造物が好きな方におすすめしたい北海道のスポットをご紹介しています。
(前回までの記事↓)
今回は、札幌で歴史的建造物が集まっている「北海道開拓の村」をご紹介したいと思います。
北海道開拓の村は、北海道の開拓が盛んに行われた明治・大正期の建造物を中心に、復元再現した野外博物館。
東京でいうと「江戸東京たてもの園」、愛知県の「明治村」のように有形文化財が集まっている、歴史好きにはたまらないスポットです。
アイヌ文化を広めたとして人気アニメ・漫画の「ゴールデンカムイ」の聖地としても、ファンには広く知られている場所でもあります。
北海道開拓の村へのアクセス
JR千歳線「新札幌」もしくは地下鉄東西線「新さっぽろ」下車し、新札幌のバスターミナル 北レーン10番で乗車します。
JR北海道バス・新22 「開拓の村」行きに乗車し、終点で下車します。
バス乗車時間は20分ほどで、乗車料金は大人210円です。
本数はそんなに多くないので、事前に確認しておいた方が良いでしょう。
車で行く場合は、国道12号線を走った後、野幌森林公園の入口を入り、百年記念塔に向かって坂をあがります。
開拓の村には広い駐車場があり、駐車料金は無料となっています。
北海道開拓の村の見どころ
北海道開拓の村の敷地は広く、ほとんどが内部見学可能なため、時間に限りのある方は一軒一軒丁寧に見て回ることはおすすめしません。
北海道開拓の村は大きく分けて「市街地群」、「漁村群」「農村群」「山村群」に分かれているのですが、見どころはほぼ「市街地群」にあると言っていいと個人的には思っています。
時間的に制約のある中、効率的に廻りたいという方は市街地群をメインで周ると良いでしょう。
市街地群という名前からも想像がつくように、官庁街、商店、住宅、職人街が集まっており、中央の通りには馬車鉄道が走っています。
馬車鉄道(4〜11月限定)はレトロな建物が並ぶ街並みを、国内唯一の馬車鉄道が走ります。
また、12月〜3月の土日祝日、さっぽろ雪まつり期間には馬そりが走ります。
馬車鉄道・馬そりの乗車料は、大人(15歳以上)250円、小人(3歳〜14歳)100円。
天候等により運休する場合があるため、ご注意下さい。
馬車鉄道の乗り場は、旧開拓使札幌本庁舎(ビジターセンター)の近くにあり、そこに時刻表もあります。
馬車はなかなか見る機会がないので新鮮です。大きな車に人が何人も乗っているのに、軽々と引く馬は力持ちなんだなと改めて感心します。
馬は2匹おり、交代で勤務(?)しているようです。私は馬が好きなので、いつもありがとう。頑張ってね、と心の中で声をかけています。
着物で訪れた方におすすめしたい、佑季イチオシの建物
北海道開拓の村には、レトロな歴史的建造物が多く建ち並んでいますが、その中でも私が特におすすめしたい建物をランキング形式で5位まで紹介していきます。
5位 広瀬写真館
写真館の創設者・広瀬和左衛門は、石川県出身の大工さんで、明治25年に岩見沢に移住し旅館業を始めました。
旅館の常連客だった札幌の写真家の影響を受け、明治31年に写真家を雇って写真館を開業しました。
1階に受付と住居、2階に写真スタジオや暗室があり、電気や照明のない時代の自然光を利用したスタジオが、今見ると新鮮です。
シングルスラントと呼ばれる、片流れガラス屋根が特徴的で、白布・黒布の多段カーテンを開閉することで光を調節していました。
当時の人々にとって写真を撮る、ということは特別なことで、一部の裕福な人のみが体験していたことのようです。
4位 山本理髪店
大正末期に円山の、北海道神宮裏参道沿いに建てられていた床屋さんです。
裏参道は南1条西21〜29丁目のことですが、このあたりは大正末期から市街地化が始まり、今でも古い建物が残っています。
これは移築した建物ですが、急勾配の切妻屋根、玄関の雨よけアーチが特徴的。
藤田理髪店から荒木理髪店を経て、山本理髪店として営業していました。
レトロな大正時代の床屋さんは、今見ると感動すら覚えます。
中に入るとリアルな人形があり、理髪椅子なども見られます。
3位 旧開拓使工業局庁舎
3位は旧開拓使工業局庁舎。グリーンの屋根や窓にイエローの扉や窓格子がアクセントとなっており、色使いがポップで楽しい建物です。
木造2階建ての洋風建築で、明治10(1877)年に札幌中心部に竣工しました。
開拓使営繕掛課御用掛の安達喜幸が設計を主導し、工事は2代目中川源左衛門ら8名が請け負いました。
その後復元・移築され、平成25(2013)年に国の重要文化財に指定されました。
寄棟屋根で、正面に切妻屋根の玄関ポーチがついています。
玄関部分の棟先飾り、レース模様の破風板がとてもおしゃれで、上げ下げ窓の上には三角ペディメントが見られます。
1階には廊下兼階段室と、その左右に執務室が、2階は階段室と執務室があります。
このようなデザインや間取りは、当時アメリカで流行した木造住宅のスタイルなのだそう。
1、2階ともに事務所として使われていて、土木課と営繕課が配置されていました。
2位 小樽新聞社
「小樽新聞」は、明治27(1894)年に創刊され、函館毎日新聞、北海タイムスと並んで北海道内の代表的新聞の一つでした。
木造の建築物が多い開拓の村の中で異彩を放つ、美しい石造りの建物。
明治42(1909)年に建築されたこの建物は、木造の骨組に札幌近郊で産出する札幌軟石を外壁に積み上げた構造でつくられています。
丸藤留治(まるふじ とめじ)による設計・施工で、間口約12.5メートル、奥行10メートルの3階建て。
1階では、小樽新聞などの北海道の新聞発達史に関する展示が見られます。
庇のある玄関部分の装飾が印象的。屋根部分についた星のような飾りは、社章です。
1位 旧浦河公会会堂
私が選ぶ北海道開拓の村 おすすめの建物・1位は旧浦河公会会堂という小さな教会。
1894年に竣工し、その後1985年に復元された木造の素朴な教会です。
中に入ると、奥が吹き抜けとなっています。
明治13(1880)年に神戸で北海道開拓会社「赤心社」(せきしんしゃ)が設立され、翌年から移民として入植しました。
「赤心社」の指導者の多くはキリスト教徒で、明治19(1886)年に「浦河公会」が組織されました。
この教会は、2代目の礼拝・集会所です。
とてもこじんまりとした可愛らしい礼拝堂で、明治末期の開拓者達の心の支えとなっていた空間が再現されています。
天井のアーチや、天井からぶら下がるランプが可愛らしく、レトロな雰囲気たっぷりです。
終わりに
レトロな建物が数多く集まる北海道開拓の村は、レトロ好き・歴史的建造物好きにはたまらない屋外博物館です。
洋服で散策ももちろん良いですが、せっかくなら着物で訪れて、レトロな写真を残してみてはいかがでしょうか。
きっと良い旅の思い出ができると思いますよ!
【北海道開拓の村 DATA】
住所:北海道札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
アクセス:JR北海道バス「開拓の村」徒歩約1分
営業時間:9時〜17時 (季節により変動)
定休日:月曜日 (祝日・振替休日の場合は翌日)
入館料:一般 800円、高校・大学生 600円
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