青森県内には現代アート専門の美術館が次々と生まれていますが、中でも訪れた人の満足度が高いと言われるのが「十和田市現代美術館」。
車がないとアクセスしづらい場所にあるのですが、ずっと気になっていたので行ってきました。
これが、期待以上に良かったのです!
十和田市現代美術館へのアクセス
私は1日レンタカーを借りて、朝弘前を出発し、お昼頃十和田市現代美術館に到着しました。
青森市まで行って山道を通るルートなので、山道の運転が不安という方は遠回りになるかもしれませんが、山を避けて北側をぐるっと走るルートで行くのがおすすめです。
ちなみに私は十和田市現代美術館の後、山道を運転して青森県立美術館へ行き、夕方弘前に着くというスケジュールでした。
電車やバスなどの公共交通機関だと待ち時間も長く、1日かけて十和田市現代美術館に行くという形になります。
効率よく青森の美術館巡りをしたい方は、レンタカーを借りるのが良いでしょう。
駐車場は美術館のすぐ近くにあるのですが、私はねぶたの時期に行ったので混んでおり、空車の表示なので駐車場に入ったものの、空いている場所がなく2周ぐるぐるしました。
美術館の方に電話をかけてその旨伝えたところ、丁寧に対応して頂けてありがたかったです。
十和田市現代美術館の建築・設計
十和田市現代美術館は、建築家・西沢立衛氏設計のもと、2008年に竣工しました。
西沢氏は1995年に妹島和世氏と共にSANAAを 設立、代表作に「金沢21世紀美術館」があります。
1997年に西沢立衛建築設計事務所を設立し、こちらの主な作品には「豊島美術館」、「軽井沢千住博美術館」があります。
十和田市現代美術館は個々の展示室が「アートのための家」として独立しており、その展示室の大きさ自体も大小様々なので、各空間ごとで全く異なる体験ができるのが印象的です。
各展示室はガラスの廊下でつながっているのですが、展示室と展示室の間のガラスの廊下を歩くことで、心の切り替えができます。
各部屋ごとに異なるアーティストの作品の展示があり、それぞれが全く異なる個性をもっているため、ガラスの廊下で周囲の風景なども眺めつつ歩くことで、次の作品を観るための気持ちの準備ができるという訳です。
敷地内には屋内展示だけでなく屋外展示もあるため、ガラスの廊下からは屋外展示の一部も見ることができて、この美術館の大きな特徴となっています。
美術館としては珍しく大きな窓があるため、展示室は自然光で鑑賞することができるし、外を歩いている人からもアート作品を観ることができて開放的。
アート作品に対しても、来館者・街に対しても、美術館という体験を面白くする工夫が建築の随所に凝らされています。
十和田市現代美術館の見どころ
美術館の前に建つ、カラフルなお花で覆われた馬の像は韓国のアーティスト、チェ・ジョンファの「フラワーホース」という作品。
美術館を訪れた人々を出迎える花束のような意味が込められているそう。見る人を明るい気持ちにさせてくれる作品です。
受付でチケットを購入し、一つ奥の部屋に佇む巨大な女性のオブジェはオーストラリアのアーティスト、ロン・ミュエクによる作品「スタンディング・ウーマン」。
皮膚のしわ、あごのたるみや顔の表情など、驚くほどリアルなのに、高さ4メートルというスケール感がとってもシュールです。
人間と比べるとその大きさが際立ちます。
アニメ「進撃の巨人」の世界に迷い込んだようでちょっと怖いのだけど、ユーモラスでもあります。
最近注目されているアーティストの一人、塩田千春氏の作品もありました。
部屋いっぱいに巡らされた赤い糸と、中心には十和田湖にあったという古い船。
作品のタイトルは「水の記憶」で、場所に宿る記憶を可視化しているのだそうです。
SF映画に出てきそうな、近未来的な作品はスペインのアーティスト、アナ・ラウラ・アラエズの「光の橋」という作品。
オブジェの中に入ると、これからロケットに乗って宇宙へ出発する時のような面白い写真が撮れます。
写真映え、インスタ映えするのが、アーティスト・栗林隆氏の作品「ザンプラント」です。
ザンプラントとは、ドイツ語で「湿地帯」という意味。
靴を脱いでテーブルの上に乗り、天井の穴から裏側を覗いてみると、この作品名の意味が分かることでしょう。
なんだかシュールな写真ですが、「不思議の国のアリス」みたいな写真が撮れることもあり、人気の作品となっています。
有機的なシャンデリアのような作品は、韓国のアーティスト、スゥ・ドーホーの作品「コーズ・アンド・エフェクト」。
階段空間をポップな色彩でいろどるのは、コストリカのアーティスト、フェデリコ・エレーロによるペインティング作品「ウォール・ペインティング・ミラー」。
子どもの絵本に出てきそうな、楽しげなインスタレーションです。
ひときわ不思議な世界観を醸し出すのが、ノルウェーのアーティスト・ボッレ・セートレによる作品「無題/デッド・スノー・ワールド・システム」。
真っ白な空間の中に、光が映るモニター、床にはキラキラ輝くミラーボールと白いヤギのような珍獣が横たわっています。
SF好きなら一度は観たことがある古典映画「2001年宇宙の旅」からインスピレーションを得てつくられた作品なのだとか。
奥の展示室には、名和晃平氏によるオブジェ「Pix Cell-Deer#52」が佇んでいます。
透明の球体で覆われた鹿のオブジェは、名和晃平氏の代名詞とも言える作品ですよね。
青森でも出会えて嬉しかったです。
この記事では私が特に気になった作品をご紹介してきましたが、十和田市現代美術館には他にも青森ゆかりのアーティストである奈良美智氏の作品を始め、日没から21時の間に外から鑑賞できるという、美術館の建物を色とりどりの光で照らす作品など様々な作品が観られます。
ぜひ一度足を運んで、あなたのお気に入りの作品を見つけてみて下さい。
十和田市現代美術館のカフェ「cube cafe & shop」
美術館のカフェはどこも素敵なところが多いけれど、こちらのカフェの特徴はなんといっても床の絵画です。
アーティスト、マイケル・リンによる作品でヴィヴィッドカラーの花柄が組み合わされた絨毯のよう。
古布を裂いて新しい布を織る十和田の伝統工芸「南部裂織」(なんぶさきおり)にインスピレーションを受けて制作されたものだそう。
美術作品なのだけど、カフェの空間に自然と溶け込んでいるのが素敵です。
気になるカフェのメニューについてですが、私が訪れた時には「とわだ短角牛とごぼうのビーフパイ」という、地元の食材を使ったメニューがありました。
美術館の展示にちなんだメニューは、名和晃平氏作品「ホワイトコード」をイメージしてつくったという、ホワイトチョコレートとカフェオレケーキをサンドしたスイーツ「ホワイトコード」がありました。
他のデザートにはアップルパイとタルトタタンがあり、夏のドリンクには「ビキニ」と「ゆずモヒート」が。
私は、カラフルな色に惹かれてドリンク「ビキニ」をオーダーしました。
このドリンクはここのカフェの夏の定番だそうで、冷たいフルーツにサイダーを注いだもので、フルーツの種類が豊富で身体に良さそうな飲み物でした。
広くてとても居心地の良いカフェだったので、美術館を訪れたらぜひのんびりした時間を過ごして、アートの余韻を味わってみて下さい。
【十和田市現代美術館 DATA】
住所:青森県十和田市西二番町10−9
アクセス:十和田観光電鉄バス「八戸駅」東口⑤から乗車
「官庁街通」バス停下車、美術館まで徒歩5分
開館時間:9:00 – 17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始
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