着物で北海道の季節やレトロな建物などを巡る企画。
美しいお花が次々に咲き乱れる春〜夏に、札幌から車で日帰りで行ける場所をご紹介。
訪れる場所に合わせて、着物を選ぶのも楽しみの一つだ。
余市川桜づつみ
東京育ちの私にとって、桜といえば3月末〜4月にかけて、ちょうど卒業式や入学式の時期の咲く花。
ところが、北海道では5月のG.W.頃に咲く。家族や友人と集まれるゴールデンウィークにお花見というのも、ワイワイと賑やかでなんだか良いなあと思うのだ。
札幌市内にも桜の名所は数多くあるけれど、桜のトンネルを楽しみたい方におすすめしたいのが「余市川桜づつみ」。
ニッカウヰスキー工場の裏手にある、余市川下流の両岸に約400本もの桜の木が並び立つソメイヨシノの桜並木だ。
私が訪れた時は、川の土手両岸500メートルほどがちょうど満開だった。
桜が枝垂れて、桜のトンネルになっている美しい場所もあり、幻想的な風景が広がる。
余市川桜づつみは、桜の木が土手の高さより少し低い位置に植樹されているため、桜の木がすぐ頭上にかかっており、撮影にぴったりなスポット。
桜は薄いピンク色をしているので、この日の着物は反対色の薄いブルーにレモンイエローがアクセントの着物。
まだ肌寒いので、袷の着物を着てきて正解だった。
【余市川桜づつみ DATA】
住所:余市町黒川町6丁目
駐車場:あり
北の紫陽花寺「明善寺」
東京生まれの私にとって紫陽花は梅雨の花。ボリュームのあるブルーやピンクの花が咲く様子は幻想的で、じめじめした梅雨の季節も悪くないな、なんて思ったりしたものだった。
でも北海道では紫陽花は7月下旬〜8月上旬に見頃を迎える夏の花だ。
「北の紫陽花寺」と呼ばれる明善寺があるのは、札幌から車で2時間の共和町。石の階段を上ると右手に鐘楼が見え、その赤い屋根が周りを取り囲む紫陽花に映える。300坪というこじんまりとしたお寺の境内には、300株以上、およそ10種類の紫陽花が植えられており、ちょうど見頃を迎えていた。紫、ピンク、ブルー、白と色とりどりの紫陽花が咲き乱れる風景。夏とはいえ少し寂しげで、どことなく浮遊感が漂う。ふんわりとした可愛らしい手まり紫陽花、クールなガク紫陽花、三角の形をした珍しいピラミッド紫陽花は庭に1株のみ。
元は明治39年に倶知安町東林寺の幌似説教所として創立され、明善寺となったのは大正7年のこと。現存する本堂は大正9年に建立という歴史あるお寺だけれど、境内に紫陽花を植えるようになったのは平成に入ってからだとか。
紫陽花は昔から七変化の花と言われ、咲き始めは淡い色でだんだんと色が濃くなっていく。この移り変わりが仏教の「すべてのものは移り変わり絶えず変化する」という諸行無常の教えを示していることから、このお寺では紫陽花を植えているのだそう。
本堂に入ってまず目に飛び込んでくるのが左右に描かれた紫陽花の襖絵。まるで流れるように描かれた紫陽花は艶やかで、金地によく映えていて美しかった。
紫陽花をモチーフにしたうちわを見つけ、購入。このお金は紫陽花を育てるために使われるそう。まさに紫陽花づくしのお寺。静かで、心安らぐところだった。
着て行ったのは濃いブルーに絞りが美しい綸子の小紋。お花が無数に散りばめられているところが紫陽花に合うかな、と思って選んだ。お花にオレンジのものがあるのに合わせて、オレンジの帯を。まるで岡本太郎のアートのような線が入っているところが気に入っている。
【明善寺 DATA】
住所:北海道岩内郡共和町南幌似83−3
アクセス:札幌より車で約2時間。国道276号線沿い。共和町役場より西へ徒歩約7分。
駐車場:あり