青森県・弘前でおすすめのおしゃれなレトロカフェ5選 Vol .1 の記事の続きです。
3、喫茶baton(弘前市民会館内)
戦前戦後の日本のモダニズムをリードした建築家・前川國男が設計した、弘前市民会館。
前川氏は弘前と縁が深く、氏の母は弘前藩士の家柄の出身で、弘前は母方の故郷でした。
また彼がル・コルビュジエの建築事務所に入所する時、弘前出身の実業家・木村隆三とパリで親交を結び、その後前川氏の最初の作品「木村産業研究所」が弘前に竣工。
木村産業研究所は日本最古のモダニズム建築と言われており、その後も弘前には8つの前川作品が生まれました。
1964(昭和39)年に建築された弘前市民会館はコンクリート打ち放しの建物ですが、よく見ると木目調になっています。
スタイリッシュだけど、どこか温かみが感じられるのは、木目のような仕上がりをもつコンクリートの壁とリズミカルなスリット状の開口部があるからでしょうか。
建物内に入ると、吹き抜けのホールに出ます。ここでは、点在するLEDの照明がまるで星空のよう。
ステンドグラスは2014年の開館50周年記念に弘前出身の洋画家・佐野ぬい氏によってつくられた作品です。
「青の時間」という作品名の通り、淡いブルーが基調になり濃いブルーや赤、ピンク、イエローがまるで宝石のように散りばめられており印象的です。
建物に関する前置きが長くなりましたが、そんな弘前市民会館の中2階にあるのが「喫茶baton」。
ホールから見るとまるで宙に浮いているように見える、幻想的なカフェです。
インテリアはモダンでシンプルに統一されており、4月〜11月は屋外のテラス席も利用できます。
上品な雰囲気もあるカフェなので、女子会や家族でのランチにも良さそう。
野菜やシーフード、生ハムのガレットメニューや、トーストのメニューも豊富です。
私はランチにカニとトマトのリゾットをオーダー。リゾットのメニューは他にズッキーニとエビのリゾットもありました。
お食事メニューは豊富で、様々な種類のスパゲティ、ペンネ、カレー、ドリア、ハヤシライスなどがあり目移りしてしまいます。
ステンドグラス「青の時間」をイメージしたというゼリーポンチ、五色のゼリーポンチ「青の時間」と五色のゼリーポンチフロートが気になりました。
パンケーキ、ミニパンケーキ、厚焼きホットケーキ、フレンチトースト、ケーキとドリンクのセットもあり、どれも美味しそう。
リゾットは新鮮なお野菜が添えられており、多すぎず少なすぎずちょうど良い量なのもありがたかったです。
【弘前市民会館 喫茶baton DATA】
住所:弘前市下白銀町1-6 弘前市民会館管理棟M2F
アクセス:中央弘前駅から徒歩約20分
営業時間:10:00~17:00
定休日:第3月曜日(祝日の場合翌火曜日)
4、スターバックス 弘前公園前 旧第八師団長官舎
弘前公園にほど近い、弘前市役所の隣に建つ歴史的建造物は「旧第八師団長官舎」。
現在はスターバックスの建物として利用されています。
モルタル塗りのグレーの外壁が落ち着いた印象を醸し出します。赤い屋根、とりわけ玄関の切妻破風がアクセントになっていて可愛らしい建物です。
北方ヨーロッパの木造建築の技法である、ハーフティンバー風の建物となっています。
弘前の大工棟梁として数多くの洋風建築を手がけた堀江佐吉の息子、堀江彦三郎による設計です。
入り口の横には、「登録有形文化財」「趣のある建物」「歴史的風致形成建造物」「景観重要建造物」の文字が並びます。
この建物は大正6年(1917年)に建築され、終戦の後アメリカ軍の進駐部隊の司令官宿舎として使用。
その後、昭和26年(1951年)に市に払い下げられ、市長公舎として利用されたという歴史があります。
中に入ると、今はコーヒーショップですがかつては人が住んでいた気配が感じられます。
かつては会議室、応接室、控室の洋室と、縁側付き2間続きの和室があったのだとか。
上げ下げ窓や腰壁の羽目板など、和洋折衷で大正時代の雰囲気が漂います。
こぎん刺しを用いた長椅子やブナの木材を使った照明など、地元の素材を生かした空間づくりが行われて、新しいものと伝統的なものがうまくミックス。
なんとも居心地の良いカフェとなっていました。
【スターバックス 弘前公園前 旧第八師団長官舎 DATA】
住所:青森県弘前市上白銀町1-1
アクセス:中央弘前駅から徒歩約20分
営業時間:7:00~21:00
定休日:不定休
5、三上ビル 珈琲時代屋
弘前市内の角地に建つ、街のランドマークの一つともいえるレトロビルは「三上ビル」。
もともとは、後に弘前相互銀行となる弘前無尽株式会社が自社ビルとして昭和2年に建築したものです。
東北でも初期の鉄筋コンクリート造の建物で、登録有形文化財にも指定されています。
設計は青森工業学校長だった大竹巽氏が手がけました。
アールデコ調のデザインが目を惹くおしゃれなレトロビルです。
そんな三上ビルの1階にある喫茶店が「珈琲時代屋」です。
私はアップルパイとカフェラテを頂きました。
青森県内はりんごの産地ということもあり、カフェメニューのスイーツの定番はアップルパイです。
おばあちゃんが一人で切り盛りしており、常連さんが多い印象。
観光客だと少し入りにくい雰囲気もありますが、おばあちゃんが気さくで優しい言葉をかけてくださるので、そんな気持ちも吹き飛びました。
弘前観光の休憩に、レトロビルに興味がある方、クラシカルな雰囲気の空間が好きな方にもおすすめしたい喫茶店です。
【珈琲時代屋 DATA】
住所:青森県弘前市元寺町9 三上ビル 1F
アクセス:中央弘前駅から徒歩約7分
営業時間:8:00~19:00 8:00~10:00 モーニングサービス
定休日:日曜日